フォトグラファー・柳詰有香さん【後編】

「マイ・ボヌール」=それぞれの「しあわせ」の形を探るこの連載。第3回目のゲスト、フォトグラファーの柳詰有香(やなづめ・ゆか)さんの後編では、日々の暮らしの中にある「ボヌール=しあわせ」なコトやモノを教えてもらいました。

コレだ!と思えた瞬間が切り取れると、しあわせ

たとえば、子どもたちの最高の笑顔を見つけた瞬間。ふるふるの卵料理にすっとスプーンを入れた瞬間。「仕事でもプライベートでも、コレだと思った一瞬が切り取れるとたまらなくしあわせに感じるんです。アドレナリンが出るというか(笑)。達成感がすごいんですよね」。
決まりきったポーズではなく自然な瞬間を撮りたいと、変顔だったり、ぼーっとしている瞬間だったり、子供たちの何気ない瞬間を切り取り続けているそう。

日常的に香りを取り入れて、リフレッシュ

フォトグラファーとしてさまざまなメディアや広告などで活躍しながら、プライベートでは3人のママでもある柳詰さん。慌ただしい日々の中で効果的にリフレッシュするために欠かせないのが「香り」だ。

「柑橘系やティーツリーなど、さわやかですっとする香りが好みです。アロマオイルを焚いてゆっくり香りを味わって、といった自分の時間を楽しむ余裕は残念ながらないので(苦笑)、スティック系のルームフレグランスなど日常的に使うものの中にお気に入りの香りをとり入れています。あと、美容系のオイル! 潤いと香りにいつも癒されています」。

お気に入りの作家の器から生まれる丁寧な時間

柳詰さんが撮影を担当する仕事の中で多くを占めるのが「食」に関わるコト。料理に加え、器の撮影の仕事も数多く、国内外で活躍する作家さんと知り合う機会も多い。
「船串篤司さんや境 知子さんの器が好きで、よく使っています。手にとったときに心地よい器があると、食事の時間が格上げされるというか。器を丁寧に扱うし、料理もちゃんとつくろうとするし、自然と丁寧に過ごす時間が育まれる気がします。
私は、白い器が好き。白といっても、グラデーションがあったり、質感が違ったり、貫入が入っていたり、一つ一つが個性的でいろいろな表情を見せてくれます」。

家族写真を通じて、ボヌール=しあわせを届ける

幼い頃の写真を眺めるのが好き、というのが柳詰さんの今の仕事に就いたルーツにある。だから、友人から家族写真を頼まれたら、積極的に引き受けているそう。
「自分が子どもをもって気づいたのですが、家族写真って貴重なんですよ。夫妻のどちらが撮影担当になるため、意外と家族全員が映る写真は少ないから。それに、こういった家族の風景は何十年後も見てもらえるはず。
こんな子どもの表情を見たことない!と喜びの声をいただくと、しあわせに感じますよね。家族の思い出の1ページに立ち会えたわけですから。写真館で撮るようなものではなく、できる限り日常の風景を切り取りたい。誰かのしあわせの瞬間を後々まで残せるのは、写真ならではでしょうね。」
日々の中からしあわせ=ボヌールな瞬間を見つけ出し、きらきらとした一瞬を切り取ることに全力を注ぐ。だから、柳詰さんの写真からは、しあわせ=ボヌールな印象が漂っているのだろう。

【profile】
柳詰有香(やなづめ・ゆか)
1983年東京生まれ。2007年よりフォトグラファー蜷川実花氏に師事。独立後、出版社にて雑誌や写真集の企画、編集、撮影に携わる。現在は子育てをしながらフリーランスのフォトグラファーとして、広告や雑誌、WEBなどで活躍。ファッション、ポートレート、フード、キッズ、など、女性らしい視点での撮影を幅広く手がける。
http://www.yukayanazume.jp
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Instagram @yukayy