フードプランナー・大皿彩子さん 後編
素敵な人の「しあわせ」を教えてもらう連載。フードプランナーの大皿彩子さんの後編では、具体的なエピソードや「マイボヌール」なアイテムを教えてもらいました。
おいしかったら、必ず結末はしあわせになれる
食の企画の仕事に携わる大皿さんが考える「しあわせを感じる瞬間」を尋ねると、「日々の仕事の中で、自分の考えたことが食べものを通して伝わって、人のココロが動いたとき」との答えが返ってきた。
「食べ物っておいしかったら、必ず結末はしあわせになる。それってすごいことだと思いませんか?単純に、この瞬間、楽しい、おいしい、嬉しいと感じてもらえたら、それがハッピー。おいしいものをしあわせな気持ちで作る人が増えたら、きっとその周囲もしあわせで満たされる。心が健康ということですよね」。
ところで、飲食業は給与が安いと言われることがある。大皿さんは、それでも飲食は多くの人が憧れる仕事であるはず、と話す。なぜなら、「おいしい!」と喜んでもらえた瞬間に、しあわせな気持ちになるという対価をもらっているから。
「食の仕事をしていて、この時間を返してくれ、と思ったことがないんです。別の仕事ではあったような気がするけれど(苦笑)。嫌だな、やりたくないな、と思いながら仕事をするときは、その時間分の補償(=お金)が必要でしょう。経済活動は対価のやりとりですから。一方で、食の仕事のように、額面では測れない対価を得ながら働いていたら、それはかけがえのない、人生を豊かにしてくれる時間ですよね。そういう仕事に誇りを持っていたい、とも感じています」
自分で作った料理と器がひとつになると嬉しい
そんな大皿さんにしあわせを届けてくれる「マイボヌール」なアイテムが、器だ。作家さんの息使いが伝わってくる器が好きだという。「こうやって使ってほしかったんだ、というのがわかると、何だかほっとするんです。良き場所に落ち着いた感じがして」。
鮮やかなブルーのツボのような器はどこかの骨董屋さんで買い求めたもの。「魔法が使えるようになりそうだな、と思って買いました(笑)」。
タルトが乗っているプレートは、大皿さんがお世話になっている千葉県の農家さんが経営するカフェで出会ったもの。「お家で和菓子を作れるようになったら、この器でいただこうと思って選びました」。
「手に取ってみて、つくり手さんの気持ちを想像しながら、どんな料理を乗せようか考える時、そして、自分で作った料理やお菓子と器がひとつになった時、しあわせだなあ、と感じます」。
意外にも、大皿さんの趣味はサッカー観戦。FIFAワールドカップ・南アフリカ大会(※前編参照)をきっかけにサッカーにはまり、今は欧州サッカーの大ファンに。ヨーロッパの仕事があるとその国で必ず試合を見ていたほど。今は、週末になるとリヴァプール(イギリス)、バルセロナ(スペイン)、ドルトムント(ドイツ)のファンとして、テレビでサッカーを観戦している。「普段と全然違う世界なので、気分の切り替えにちょうどいいんですよ」。
そして、大皿さんは、昨年夏に出産。男の子のママになった。「最近、何かしら表現をするようになって、心の通いを感じるとやっぱり嬉しい。赤ちゃんには自分しかいない、この子に必要とされているんだと思うと、しあわせですね」とほほ笑んだ。
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大皿さんにとって、仕事にしろ、モノにしろ、何かを選ぶときの基準は、「なるべく、みんなにハッピーがあるもの」だ。しあわせがしあわせを呼ぶ。そんなポジティブな連鎖を生み出す大皿さんの周りには、穏やかで心地よい空気が流れている。
【profile】
大皿彩子(おおさら・さいこ)
”おいしい企画”専門のフードプランナー。「食事をもっと楽しく」をモットーにコンセプト立案から、レシピ/商品/店舗開発、フードコーディネート、原稿執筆やイベント運営まで手がけている。
https://www.instagram.com/saikolo/
アラスカ ツヴァイ
東京都目黒区東山2‐5‐7
https://www.instagram.com/alaska_zwei/