はじまりは4~5千年前!香料の歴史とは?

人間が“香り”をはじめて取り入れたのは約4~5千年前!

香水にフレグランス、アロマキャンドルに柔軟剤やシャンプー…私たちは現在、当たり前のように香りに囲まれて生活していますが、そもそも“香り”という文化はどのようにして生まれたのでしょうか。

人間がはじめて暮らしに香りを取り入れたのは、今から4~5千年前に古代文化民族が儀式の際、香料を焚いて、その立ち上る紫煙に祈りを捧げたことがきっかけだったと言われています。古代のエジプト人は香料を焚く以外に、花から花精油を抽出する技術も持っていたようです。ギリシャ時代になると、香料の製造がさかんに行われるようになり、宗教儀式のときだけでなく、身体に芳香をつけるための香油を塗る習慣も生まれました。

大陸の発見や貿易の発展により、多くの香料が作り出された中世

ギリシャからローマへと香料の趣味が伝わると、ローマ人たちは浴室、居間、寝室から食卓の上まで、よい香りを漂わせるのに一生懸命だったと言われています。インド、アメリカの発見や、貿易の発展が新しい香料工業をさかんにし、中世では多くの新しい香料が作り出されました。つまり、今日の香料の基礎は19世紀に築かれたというわけです。

香料植物の生育に適した街、グラース

現在、世界の香料の聖地になっている南仏のグラースの街は、12世紀ごろ皮革製造業を中心として栄えていましたが、16世紀後半になってトンバレリーというフローレンス人がグラースにはじめて香料を紹介したことがきっかけとなり、グラースの香料の街としての歴史的第一歩が踏み出されました。皮革製品の悪臭を消し、芳香をつけてくれる香料は、瞬く間に人気商品となり、せっけん製造業とも結びつき、香料製造への道が一気に開かれたのです。温暖な気候と優れた土質のおかげで、グラースは香料植物の生育にとても適していたので、フランス革命の洗礼を受けながらも天然香料工業は順調に発展を遂げていきました。