ヘアスタイリスト・shucoさん 前編

Bonheur=しあわせを感じる瞬間は人それぞれ。今をときめく人たちに、「しあわせな○○」を教えてもらうリレー連載。第1回目は、ヘアスタイリストのshucoさんが登場! shucoさんのこれまでと、ボヌールな時間を教えてもらいました。

20代の頃にフランスへ渡り、ヘアスタイリストとしてパリを中心に世界各国を飛び回り、有名なモード誌やコレクションにて活躍。帰国後も第一線で活動するshucoさんは、センスの高さに加え、その親しみやすいキャラクターで、芸能人やモデルから愛されています。

毛髪診断士の資格を持ち、ヘアケアの知識が豊富なことでも知られるshucoさんは、そもそも、何がきっかけでヘアスタイリストの道へと進んだのでしょうか?

パリ、ロンドン、NY…。トップメゾンとの仕事を通して得たもの

「中学生の時、古本屋で偶然出会ったアメリカのメイクアップアーティストの写真集に衝撃を受けて、最初はメイクの道に進もうと思ったんです。ファッションが面白い時代だったし、自分ではない誰かになれることに興味がありました」。

地元・京都にある美術系短大に進んだ後、東京の美容室で働きながら、美容師免許を取ることに。そこで、その後の人生を左右する師匠、トモヒロ・オオハシさんと出会ったのだそう。
「夏休みをもらって、トモヒロさんに会うためにパリへ行って、大好きになってしまって。半年後には留学してました(笑)。当時、師匠はビッグメゾンのトップチーフで、すごい活躍ぶり。ちょうど前任者が抜けるタイミングでアシスタントに入り、刺激的な日々を過ごす中で、メイクより地道な努力が実を結ぶヘアのほうが自分に向いていると思い、この道を進むことにしました」。

やがて、shucoさんはパリに訪れる数々のトップクリエイターのプロアシスタントとして活動するように。5、6年経つと自身の仕事も入り始め、あるクリエイターのマネジメント事務所に入ることになった。そこから、shucoさんの世界はさらに広がっていく。
「この仕事って、何かのきっかけで力のある人が引っ張り上げてくれるものなんです。そのチャンスが私にもやってきた。世界的に有名なカメラマンに気に入ってもらえたことで、すごく魅力的な仕事を振ってもらえて。がらりと状況が変わりましたね」。
憧れだったイギリスの事務所からスカウトされたり、今までやってみたいと憧れていたメディアやカメラマンとの仕事がどんどん舞い込んできた。月に何度も海外出張を重ね、大がかりな仕事をしていく日々。その一方で、試される場面も増えていったそう。
「精神的に追い詰められるような仕事が連続して…。自分の生活なんて無いですよね。プレッシャーがきつくて、明日隕石が落ちてこないかな、と本気で願ったことも(苦笑)。それで、自分の人生や将来のことを考えるようになりました」。 師匠のすすめもあり、日本の事務所にも所属することにし、帰国。日本を拠点に活動することを決めた。
「ファッションの最前線の仕事をするなら、やはり海外のほうが恵まれています。日本では制約が多いので。だから、日本では、身近な人たちにアプローチできるような、リアルな提案に力を入れよう、と決めたんです」。

小さなことにしあわせを見出す

そんなshucoさん、小さなことでもしあわせを感じる、「ボヌール上手」なタイプ。 「大好きな香りのオイルを使っている瞬間や、お家でマンガや本を読んでのんびり過ごしている時間、バスタイム、お花を飾ること…そんな些細なことに、ああ、しあわせだなあと思います」。

もうひとつ、喜びを感じるのが、「時間を有効活用しているとき」なんだとか。 「たとえば、お風呂に入りながら、ボディのデトックスをして、同時に、フェイスは泥のパックをしていて、さらに動画を見ているとき。複数のことを全部同時にできているじゃないですか? もう最高にハッピーです(笑)。 あと、料理も好きなのですが、複数のレシピをいい具合のタイミングで、ムダな食材を出さず、さらに片付けも同時進行できて、調理後のキッチンがピカピカだと、私、頑張っている!と思える。きちんとオーガナイズできている状態が、しあわせなのかな?」

小さなことにも「しあわせ」を見出すポジティブさ。ボディのケア、家事、整理整頓、ともすると義務にも思える日々の行為を、「これをしたら、きれいになってしあわせ!」と転換できる前向きさが、shucoさんの真の魅力に違いない。

≪後編へ続く≫

【profile】
shuco:
ヘアスタイリスト/毛髪診断士
東京でのサロンワークを経てパリに渡り、各国のモード誌などで活躍。帰国後も様々な媒体でセンスを発揮し、ヘアを通じた社会貢献活動にも注力している。